新しい職場で働くとき、引っ越しで新しい土地で暮らし始めるとき、子供が進学をしたときなど、少し緊張してスタートをする節目が大人にもいろいろとありますよね。
大人もいろいろな『初めて』に出会うと緊張するように、子供もいろいろな『初めて』で緊張をします。
ただ、なかにはうまく緊張を発散できずに癖のような行動で心の状態を表現してしまう子供もいるようです。
チック症ともいわれるこの症状、口をなめるなどの行動が現れます。
今回はこの症状や対策について、お伝えしたいと思います。
子供が口の周りをよく舐めているのはチック症なの?
友人の娘さんは小学1年生です。いつも元気で、あいさつも返事も、大きな声で上手に答えてくれます。
友人に「いつも元気でいいね」というと、彼女は意外な答えを返してきました。
「この子、チック症なのよ。幼稚園に入園してしばらくもそうだった。
意外とストレスを受けやすいみたい」
彼女の娘には口の周りをなめたり、「ちっちっ」と舌打ちをするくせが見られたようです。
チック症ってなに?
チック症とは、アメリカ精神医学会ではこのように定義されています。
『チックは, 突発的, 急速, 繰り返される不規則な運動もしくは発声である』
なぜチック症になるのかはっきりしたことは分かっていませんが、遺伝や環境が絡み合って起こるともいわれています。
多くは新しい環境に出会ったときに発症しますが、リラックスすると発症するケースなど様々あるようです。
チック症の症状にはいろいろあり、大きくは二つに分類できます。
一つが運動チック、もう一つが音声チックです。
先ほどの友人の娘さんの症状でいえば、口の周りをなめる動作が運動チック、舌打ちが音声チックになります。
このうち口の周りをなめる行為では、それだけで済まない症状が現れてきます。
口の周りをなめていると…
口の周りをなめ続けていると、唾液でぬれた唇が渇くときに唇の水分まで一緒に渇いてしまい唇が乾燥し、カサカサの唇なってしまいます。
また口をなめるまさつで、唇の色素が沈着して黒ずんでくることがあります。
カサカサで唇が切れると子供も痛がりますし、黒ずむと見た目も良くないですね。
では子供が口の周りをなめ続け始めた時、どのように対応すればいいのでしょうか?
親や周囲の人間が心掛けること
子供が口の周りをなめ続けると、親としてはついやめさせたくなります。
でも、ちょっと待って下さい。
無理に口をなめることをやめさせると、子供のストレスのはけ口を奪うことになりかねません。
大切なのは子供のストレスの原因を理解し、ストレスを和らげる助けをしてあげることです。そのためには周りの人のチックへの理解が必要です。
ただ、だんだんと口の周りが黒ずんでくると、親としてはどうにかしてやりたくなります。
その場合はマスクをしてちょっとごまかしてみる、などの方法もありますが、基本的に子供は皮膚の代謝も早いので、チックの症状が収まればすぐに口も元の色に戻りますからあまり気にしない方がいいかもしれません。
どんな薬を塗ればいい?病院は何科?
口のまわりをなめる症状が長く続き、荒れて黒ずんでしまったら、保湿力の高いリップをつけるなどの対応策がありますが、リップごとなめてしまえば回復しません。
では原因である、チック症の治療はどうすればいいのか。
実はチック症は長くても1年位で自然治癒します。
周りの大人がチック症を理解し、接し方や環境を整えることが、口の周りのトラブルの改善にもつながります。
しかし、まれに1年以上の長期になったり、日常生活に支障が出る程のチックの症状が現れる子供もいます。
その場合はかかりつけの医師や専門の小児精神科の医師に相談して、適切なアドバイスをもらってください。
まとめ
普段と違う症状が子供に現れると、親としては落ち着かないものです。
我が子のチックの症状にストレスを感じる人の気持ちもわかります。
チック症の治癒には、やはり親や周辺の大人の理解が必要です。
子供の環境を理解し、サポートし、対応がむつかしければお医者さんに相談してください。