「月が綺麗ですね」と気になる異性に言われたら、どう思いますか?
実はこの言葉、愛の告白なのです。私にはさっぱりわかりませんでした…
もしもこの言葉が私にかけられた時、なんと答えるのがいいのやら…既婚者ながら、思い描いてしまいました。
そこで今回は「月がキレイですね」の由来や返答について、ちょっと考えてみます。
由来は夏目漱石
この言葉、もとは明治の文豪、夏目漱石の言葉が由来です。
漱石さんは一時期、英語の先生をしていました。ある日生徒が物語の和訳をしていたのですが、「I love you」を「我君を愛す」と解釈したそうです。
真面目というか、硬いというか。現代人が聞くとびっくりする告白ですが、漱石もこの言葉にダメ出しをしたそうです。
ところがこのダメ出しも、なかなかオリジナリティーにあふれていました。
「きみ、日本人は『愛』なんて言葉を軽々しく使わないよ。そこは、『月が綺麗ですね』とでもしておくのがいいだろう」
難しい…難しいです漱石先生。それでは愛が伝わりません。少なくとも、私には…。
と思っていたら、なんと現代女性の90%に、この言葉が愛を語っていると理解されなかったとの調査報告を見つけました!私だけではなかった!
明治の人には伝わるのでしょうか。空気感とか、言葉の言い回しとか、ニュアンスが今と違うのでしょうね。
素敵な返し方
「月が綺麗ですね」の意味を知ってしまったあなた、もし言われたらどうしましょうか?
文学的返し
実は明治時代の作品の中に、この言葉と対をなすフレーズが存在します。
それが「死んでもいいわ」だそうです。なんかもう、理解が大変です…
この言葉、漱石さんとおなじ明治の文豪、二葉亭四迷が書いたセリフが由来になっています。
当時ロシア文学を翻訳していた四迷さん、物語の中で主人公に抱き寄せられた女性が放った言葉「yours(あなたのものよ)」を日本人流に解釈し、「死んでもいいわ」と訳したそうです。
「月がキレイですね」 → 「死んでもいいわ」
知らない人が聞くとびっくりしますが、文学好き同士なら盛り上がることうけあい…かもしれません!
現代風の返し
現代の女性ならなんて返すでしょうか?ちょっと調査してみました。
「あなたと見る月だから綺麗なんです」
スマートで良い返しだぁ、と感心しました。これなら普通に、良い感じの会話だなとわかりますね。
「ずっと綺麗でしたよ」
「月が綺麗ですね」訳して→「あなたが好きです」、に対して
「ずっと綺麗でした」訳して→「ずっと好きでした」、という、私には考えこまないと意味が呑み込めない問答です。
こういう言葉がすぐに出る人、すごいと思います。
断りたい時の粋な返し方
せっかくの、粋な愛の告白でも、やはり相手によってはお断りすることもありますね。
せっかくなので粋に返して、いい思い出としたいところです。
文学的返し
先ほどの二葉亭四迷さんの「死んでもいいわよ」を受けて、お断りのさいに「私は死にたくない」というフレーズを使用するのが有名だそうです。
私はもちろん初めて聞きましたが。
「月が綺麗ですね」 → 「私は死にたくない」
もうほんと、難しいです…。
現代風の返し
もう少しわかりやすい、現代風のお断りにはこんな言葉も推薦されていました。
「月が綺麗ですね」 → 「私には見えません」
ストレートで好きですが、なんだか寒気をもよおす返事です。
でもその冷たさできちんと伝わるから、ありですね。
笑顔で言うと、なお伝わりそうです…。
「月が綺麗ですね」 → 「私には太陽の方が綺麗です」
価値観の違いをはっきり伝え、相手に脈無しとわからせるお返事です。
月に対して太陽と切り返すあたり、気の強さが出ていていいですね~。
まとめ
「月が綺麗ですね」にまつわる、とんちのような落語のような愛の語らいについてまとめてみました。
明治の文豪たちは間接的に意図を伝えることができる頭のいい人たちだなぁ、と感心する半面、ちょと面倒…いやいや、ストレートな愛の表現が下品とされない現代人で助かった、と胸をなでおろしました。