年越しそばの歴史は、とても古くからあるそうです。
「年末にみんなで蕎麦をたべる」という風習はなんだか地味な感じがしますが、
穏やかで日本人らしい風習ともいえます。
それにしても、何故そばを食べるようになったのかご存知ですか?
「蕎麦よりうどんが好き」なんて人も結構多いかもしれません。
そこで今回は、年越しそばに関する豆知識をご紹介していきます。
年越しそばはなぜ蕎麦?色々な由来。
年越しそばを食べるのは年末、12月31日です。
この数日前から百貨店やスーパーなどのお店でたくさんの蕎麦が並ぶようになり、
当日には天ぷらなどもかなりの高値で売られます。
コタツに入ってあったかい天ぷらそばを食べるのは、冬に感じられる特別な幸せですね。
そして日本の人々が年越しそばを食べるのは自宅だけではありません。
人気のあるおそば屋さんには行列ができるほどにぎわいます。
そのような様子は、日本での年越しそばを食べる風習の根強さを感じさせます。
日本人の8割が12月31日に年越しそばを食べている?
2015年に行ったこちらの統計では、
80.3%の日本人が12月31日に年越しそばを食べているそうです。
「年越し蕎麦は食べる?」
12/31に蕎麦は食べる80.3%
12/31に蕎麦は食べない19.7%
出典:ヒトのデータ.com
完全に、日本の文化として根付いていますね。
では、なぜ年末の食べ物が蕎麦になったのでしょうか?
由来1 一切の災いを断ち切る
蕎麦の「切れやすい」という特徴に由来しています。
確かに、ほかの麺類と比べると蕎麦は麺がデリケートで、
食べている途中でブツブツ切れてしまうことがありますね。
そのほか素人(しろうと)がそば打ち体験に参加すると、蕎麦を切る作業に苦戦しています。
年越しそばは、この「切れやすい」という特徴に、「一年の災いを断ち切る」という意味をかけているのです。
なんだか無理矢理な感じもしますが、蕎麦を食べるだけで災いから逃れられるのは簡単な願掛けとも考えられるでしょう。
そのほか、蕎麦は麺が長いという特徴もあります。
蕎麦を食べる「ズルズルズル~~~」という音を想像すると、確かに麺が長い感じがしますね。
長い麺をみんなですすって食べることで、長寿になれるという考えがあるそうです。
由来2 家族の縁が長く続くように
「家族の縁が長く続くように」という願いを込めるという説もあります。
そばは長いので、それに掛けたんですね。
由来3 延命長寿
そばは細く長く伸びるので、細く長く生きられますように、
との願いが込められているとも言われています。
由来4 金運招福
昔、金銀細工師が金粉や銀粉を集めるときに、そば粉を利用していました。
また、金箔を延ばすためにそば粉を使ったそうです。
そのことから、そばはお金を集め、溜まる縁起物であるとされました。
由来5 運気上昇
鎌倉時代、博多の承天寺で年末に貧しい人たちにそば餅を配ったところ、翌年から運気が良くなったという話があります。
そこから、年末にそばを食べると、翌年の運気が上昇すると言われるようになったそうです。
年越しそばの由来を調べていくと、なんとなくあたたかい気持ちになってきませんか?
数百年前に暮らしていた日本の人々が、穏やかに平和を願う気持ちが感じられます。
蕎麦アレルギーの人は、“年越し○○”にしよう!
先程紹介した「2015年 年越し蕎麦を食べる割合 アンケート結果 統計」では、
19.7%の人が「12月31日に年越しそばを食べない」と答えていました。
その理由を見ると、「そばアレルギーだから」という方がいらっしゃいました。
現代の日本では、食べ物のアレルギーをもつ人が非常に増えています。
蕎麦アレルギーをもつ人だと、当然のことながら年越しそばを食べることは出来ません。
ですから「年越しそば」の由来に沿って、違う麺を食べましょう。
すでにご紹介した、年越しそばの由来を思い出してみましょう。
切れやすい麺、長い麺、というところがポイントです。
ゆえに、このポイントを押さえているのであればほかの麺類でも良いとも考えられます。
そして、もちろん食べる日にちは年越しそばと同じく年末の12月31日です。
切れやすい麺を食べて災いを経ち切り、長い麺を食べて縁が長く続くように願うのです。
うどんであれラーメンであれ、その願いを込めることは出来るはずです。
「年末なのにアレルギーがあるから蕎麦が食べられない…」としょんぼり考えず、
「災いを経ち切って縁が長く続くように麺を食べる!」と前向きな気持ちを持つことが大切です。
近年、蕎麦アレルギーの人が増えていることから、「そば粉が入っていない蕎麦風味の麺」の開発が進みました。
そば粉が入っていないので正式には蕎麦ではないものの、食感が非常に蕎麦に近いものなのです。
そば粉が入っていなくても見た目や食感が近いものなら、ほかの家族と年越しそばを一緒に堪能できますね。
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↑こちらは、そば粉を一切使わない、小麦粉とひじきが主原料のおそばです。
見た目もそばにしか見えないし、ひじきなので栄養豊富でツルっとした喉越しとモチモチの歯ごたえが特徴です。
材料
小麦粉(国内製造)、ひじき粉末、食塩、酒精、ソルビット、プロピレングリコール
めんつゆ:しょうゆ(本醸造)、風味原料(かつおぶし、こんぶ、しいたけ)糖類(砂糖、果糖ぶどう糖液糖)、みりん、食塩、調味料(アミノ酸等)、(原材料の一部に大豆、小麦を含む)
近年、「年明けうどん」という「年が明けてから食べるうどん」が注目されています。
年越うどんを食べる地域もあるそうです。
・年越しうどん
・年越しラーメン
・年越し素麺
・年越し玄米麺
・年越しフォー
体質に合わせて、願いを込めて美味しくいただきましょう。
年越しそばを食べるタイミングは?昔は節分だった
現代の日本では、12月31日に年越しそばを食べることになっています。
しかし、実は江戸時代だと年越しそばを節分の時に食べていたそうです。
何故現代では12月31日になったかというと、「1年の始まり」の設定に変化があったからです。
かつての日本では、「立春から新年が始まる」という考え方が定着していました。
この立春というのが節分の時期を指します。
それが、江戸時代のあとに1月1日を新年の始まりという考え方に変わっていったのです。
その変化とともに、年越しそばを食べる日が12月31日になりました。
現代では、年を越してしまって新年を迎えてから食べるのは縁起が良くないと言われています。
気持ち良く新年を迎えるために、1月1日から数日の間に蕎麦を食べることはやめておいた方が良さそうです。
まとめ
年越しそばを食べる風習について、何か新しい発見はありましたか?
なぜ蕎麦なのか、というところでは、意外だと感じる内容もあったかもしれませんね。
「切れやすい」そして「長い」という特徴の蕎麦。
その由来を思い出しながら年越しそばを食べた方が、きっとあれこれ経ち切ってくれるでしょう。
由来を知らないまま年越しそばを食べて迎えていた年よりも、
由来を理解して食べた時の方が、良いことが起きそうな気がします。
蕎麦アレルギーの人は、蕎麦以外の食べ物を摂り入れながらぜひ縁起を担ぎましょう。
日本で古くから伝わる風習が、新年を迎える気持ちを前向きに明るくさせてくれます。
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