煩悩という言葉を聞くと、マイナスなイメージを連想しませんか?
しかし、「子煩悩」という言葉を聞くと、なんだかポジティブな印象になりますよね。
そんなプラスとマイナスの両側面をもつ「煩悩」って一体なんなのでしょうか。
なぜ煩悩は108あると言われているのでしょうか?
また、108というと除夜の鐘の数でもあります。
この煩悩と除夜の鐘の数には、関係があるのでしょうか?
今回は、そんな疑問にお答えするために、煩悩と除夜の鐘についてまとめてみました。
煩悩はなぜ108?由来は?
一般的に煩悩の数が108とされているのには、3つの由来があります。
1.人間の感覚が元になっている
2.四苦八苦という言葉が元になっている
3.1年の流れが元になっている
人間の感覚が元になっている
人間には五感というものがありますよね。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つです。
実は、この五感に「意識」を足して、六根と呼ばれていることをご存知でしたか?
そして、6通りの煩悩があると考えられています。
この六根に、「好(快い)」「悪(不快)」「平(どちらでもない)」の3種類をかけ合わせると
6×3=18となります。
さらに、この18の煩悩に「浄(きれい)」と「染(きたない)」の2種類をかけ合わせて
18×2=36となります。
そして、最後にこの36の煩悩は、「前世」「現世」「後世」に渡って悩ますことから
3種類をかけ合わせて、36×3=108となるのです。
この考え方が、最も有力と言われている由来です。
四苦八苦という言葉が元になっている
あなたは四苦八苦という言葉はご存知ですか?
四苦八苦とは、あらゆる苦しみを意味しています。
この苦しみを煩悩であると言い、苦という字を9という数字に置き換え
四苦(4×9=36)と八苦(8×9=72)を合わせて
36+72=108になることが由来の1つと考えられています。
1年の流れが元になっている
1年は12ヶ月あります。
さらに二十四節気の24と、七十二候の72の数字をそれぞれ足して
12+24+72=108になるため、これが由来となっているとも言われています。
除夜の鐘はいつから始まった?歴史!
大晦日から元旦の夜にかけて鐘をつく除夜の鐘は、「鎌倉時代」に日本に伝わりました。
実は、除夜の鐘は日本発祥ではなかったのです。
もともとは、中国の宋で行われていた文化でした。
宋では除夜の鐘は、「鬼門を封じるため」につかれていました。
鬼門というのは、北東の方位を指します。
この方角は鬼が出入りすると言われ、良くない方角とされていました。
北東のことを、艮(うしとら)と言うことがありますが
これは「丑」と「寅」の間のことを指します。
丑と寅を月に言い換えると、12月と1月になります。
そのため、12月から1月になる時に、鬼が来ないように除夜の鐘をついていたのです。
しかし、日本に伝わった時は、違う意味で広まりました。
除夜の鐘と同時に、2つの禅宗も伝わったのですが
除夜の鐘はそれらの布教活動の1つでした。
鎌倉時代に始まったこの布教活動の1つは、月日が経つごとにどんどん広まっていき
江戸時代になると2つの禅宗だけでなく、多くの寺院で除夜の鐘がつかれるようになりました。
除夜の鐘は何時から何時頃まで?
除夜の鐘は、23時45分頃からつかれ始めます。
なぜなら、年を越す瞬間に108回目の鐘をうつ必要があるからです。
つまり、除夜の鐘は23時45分〜0時00分の15分間だけつかれるということです。
年を越す瞬間に108回目の鐘をうつ理由は
新しい1年を、煩悩とは無縁のものにするためと言われています。
しかし、23時45分というのは、目安とされている時間です。
寺院によって、鐘の大きさが違うため、鐘の響きも変わってきます。
鐘が大きければ大きいほど、響く長さも長くなるため
23時45分より早くつき始めることになります。
もししっかり108回の除夜の鐘を聞きたいという場合は
事前に参拝する寺院に問い合わせてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、煩悩と除夜の鐘についてご紹介しました。
1年が経つのも早く、あと数ヶ月で今年も終わろうとしていますね。
大晦日に時間を取って、除夜の鐘を聞きながら今年を振り返ってみるのはいかがでしょうか?