先日、ご近所さんから柿をたくさんいただきました。
美味しい柿を毎日堪能しています。
ところで、柿には甘柿と渋柿がありますよね。
甘柿は本当に甘くて美味しいのに渋柿は・・・
子どものころ、間違ってかじってしまった時の衝撃は今でも忘れられません。
調べたところによると、柿の品種は1000種以上もあって、実は渋柿のほうが多いのだとか。
甘柿は渋柿の突然変異と考えてられているそうです。
そのままでは食べられたものではない渋柿ですが、渋抜きをすれば甘~く変身しますよね。
今回は、その渋抜きについてのお話をしたいと思います。
渋柿の渋抜きの原理は?
柿の渋さの正体は、タンニンというポリフェノールの一種です。
柿に含まれるタンニンは可溶性といって口の中で溶ける性質を持っていて、このときに渋みを感じさせます。
この可溶性のタンニンを溶けない性質に変えるのが渋抜きです。
タンニンを不溶性に変化させるのは、アセトアルデヒドという物質。
アセトアルデヒドはアルコールが酸化することによってできることで知られています。
それを利用したのが、アルコールによって渋抜きする方法です。
また、柿を呼吸できない状態にすることによって、柿の中にアセトアルデヒドを生成させることもできます。
この原理を使って行う渋抜き方法はいくつかあるので、後でご紹介します。
いろいろな渋抜きの方法がありますが、アセトアルデヒドの作用であることはすべてに共通しています。
ちなみに、渋さは感じなくなりますが、タンニンがなくなったわけではありません。
甘くなっても、抗酸化作用があるタンニンをちゃんと摂取できるのは嬉しいですね。
ドライアイスで渋抜きする方法
業者さんは炭酸ガスを使って渋抜きをするそうです。
炭酸ガスを充満させて、柿が呼吸できない状態にするということですね。
この方法の応用がドライアイスを使った渋抜きです。
ドライアイスが気化すれば、炭酸ガスになりますからね。
用意するもの
柿10kgに対して、ドライアイス500g~1kg
破れにくい厚手のポリ袋
ポリ袋が破れないか心配な場合は、二重にして使うといいですよ。
〈渋抜きの手順〉
・ヘタをとった柿をポリ袋に入れる。
・柿の上に1日分の新聞紙を置く。
・新聞紙の上にドライアイスを置く。
・ポリ袋の中の空気を抜いたら輪ゴムや紐で口を縛る。
・数日で、渋みがすっかり抜けて出来上がり。
ポイント
ドライアイスが大きい場合は、砕いて使うと気化しやすくなります。
柿が直接、ドライアイスに触れてしまうと、傷んでしまうので注意してくださいね。
ポリ袋の空気を抜くとき、掃除機を使うとやりやすいです。
空気を抜いたら、ガスが漏れないようにしっかり口を縛りましょう。
この方法で、業者さんが渋抜きしたような甘~い柿ができるはずです。
他の方法は?
ドライアイスを使った方法以外にも、いろいろな渋抜き方法があるので、いくつかご紹介したいと思います。
アルコール漬け
35%以上のアルコール度数の高いお酒をヘタの部分につけ、密封。数日そのまま置きます。
湯抜き
ポリ袋に入れて、35~45℃のお湯に数日つけます。
温泉につけて渋抜きをする地方もあるそうです。
冷凍
皮をむいた渋柿をラップで包み、冷凍庫へ。
凍ったらすぐに渋みが抜けるわけではないので、数日以上置きます。
干し柿
軒先にずらりと柿が並んでいるのは懐かしい光景ですよね。
干し柿もタンニンが不溶化することで甘くなります。
そのまま放置
渋柿はそのままにしていても渋みが抜けるんです。
ただし、ジュクジュクになるくらい熟れないと甘くなりません。
そうなったら、凍らせて食べたりジャムにしたりするといいですよ。
最後に
あんなに渋い柿が手間を加えると甘く変身するなんて、原理を知っても、やっぱり不思議だなと思います。
昔の人は、鮮やかで美味しそうな渋柿をどうにか食べようと、知恵を絞ったのかもしれませんね。