もう10年以上前のこと…
大学の調理実習で桜餅を作りました。
私は桜餅の塩気と甘みが好きで楽しみに調理実習に臨んだのですが…その桜餅、私の知る桜餅ではありませんでした。
「和風ロールケーキ?和風クレープ?でも桜の葉だけはちゃんと巻いてある!」
一緒に調理をしていた学生たちと、非常に不思議な気持ちで作っていたことを今でも覚えています。
おそらく教授からロール桜餅についての説明を受けたのだと思いますが、それについては一切記憶にありません…。
そこで今回は、地域による桜餅の違いや葉っぱについて、調べてみたいと思います。
桜餅の葉は桜の葉?種類は?
桜餅といえば、桜の葉が巻いてある和菓子ですね。柏餅同様、あの葉があることで季節感を感じることができる、なくてはならないものです。
あの桜の葉は、どの桜の葉でもいいわけではありません。
桜餅の桜の葉は『大島桜』という名の桜の木。伊豆諸島を中心に分布しているようです。
『大島桜』の特徴は、ほかの桜の葉と違って
・葉がおおぶり
・葉の表面に毛が無い
・芳香成分を多く含んでいる
という特徴を持ちます。
特に芳香成分は「クマリン」といい、
・桜餅独特のいい香りをもちにつける
・抗酸化作用や抗菌作用がある
等の特徴により、桜餅の風味や保存になくてはならない存在のようです。
ちなみに使用されている『大島桜』の葉の約7割が、伊豆半島の松崎町で生産されているようです。お世話になっています。
桜餅の葉は食べてもいいの?
「クマリン」の香たっぷりの桜餅の葉、みなさんは食べますか?
桜餅の葉、どうやって作られるの?
桜餅の葉は、材料がすべて食用可能です。
材料はたいていの場合、桜の葉・食塩・ミョウバン・酸化防止剤(ビタミンC)で、食べて害になるものはないそうです。
もちろん大量に食べることで体に弊害のある場合もありますが、葉っぱだけ10枚も20枚も食べることは考えられないので、常識の範囲では大丈夫でしょう。
食べたい?食べたくない?
「食べられる」と「食べる」は違いますね。
私の場合は「ちょっとだけ食べる」です。あまり甘いお菓子が好きではないので、桜餅の葉の塩味を少しだけ口に含むことで妙においしく感じます。
友人は一生懸命はいでいました。人それぞれですね。
ちなみにざっくりした統計では、西日本の人は比較的「食べる」人が多いようですが、関東圏の人は食べない人と食べる人、半々だったようです。
いがいと皆さん、食べていますね。
東西で違う桜餅
冒頭の調理実習の話、勘のいいひとはお気づきになったでしょうか?
私が調理実習で作ったのは、関東風(江戸風・長命寺桜餅)の桜餅でした。
関東風の桜餅
関東風の桜餅は、小さなクレープのようだと思いました。クレープにしては厚みがあるかな?ロールケーキ?何が近いでしょうか…?
関東風は小麦粉を水で溶いて、丸くクレープのように焼きます。
大きなどら焼きくらいですね。
丸めたあんこを焼いた生地でくるんで、桜の葉を巻いたら出来上がりです。
私のイメージする餅とは違いますが、この桜餅も好きです。
関西風の桜餅
団子状の関西風桜餅。
関東では「道明寺桜餅」とも呼ばれていますね。
名前の通り、道明寺粉を用いて創ります。道明寺粉とは、もち米を蒸して乾燥させ、粗くひいたものです。
丸めたあんこの周りに道明寺粉をつけて、それに桜の葉の塩漬けを巻いて蒸したら出来上がりです。
ちなみに関西で桜餅の葉を食べる人が多いのは、関西風の桜餅が、餅と葉がべたーっとくっついた状態だからかもしれません。取ろうにも少しはがすと破れて、そりゃもう大変。
あきらめて食べてしまった方が早いですから。
まとめ
桜餅は、春の季語でもあるそうです。四季を大切にする日本人らしいですね。
ピンクに色付けされることの多い、四季を感じる桜餅には、見た目にも桜の葉が欠かせません。
松崎町の皆さん、今後ともよろしくお願いします。
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