雨にまつわる童謡、何を思い浮かべますか?
私は「じゃのめでおむかえ~」の、あの歌です。
おそらく幼稚園の頃の記憶ですが、「ピッチピッチ チャップチャップ」のフレーズをものすごく気に入って、妙に歌っていた覚えがあります。
うちの子も、大好きで雨が降ると歌っています。
そこで今回は「ピッチピッチ チャップチャップ」でおなじみ、童謡『あめふり』について紹介します。
童謡「あめふり」とは
この歌が発表されたのは大正時代です。
大正時代の子供向け雑誌「コドモノクニ」の大正14年11月号に発表され、初めて世に出ました。
誰が作ったの?
作詞は北原白秋さんです。
私はこの方、大正時代の詩人だと思っていたのですが、童謡の作詞家としても有名だったようです。
調べてみると詩もさることながら、童謡の作品もたくさん世に出していらっしゃいます。
代表作としては、今回紹介している「あめふり」のほかに、「ゆりかご」「この道」など聞いたことのある歌詞がたくさんありました。
作曲は中山晋平さん。正直あまり存じ上げなかったのですが、この方もたくさんの童謡を作曲されています。
「シャボン玉」、「背くらべ」、「ウサギのダンス」など、耳に残る、楽しい曲や優しい曲を世に出されているようです。
こうみると、なかなか豪華な二人のタッグでできていますね。
「じゃのめ」って「蛇の目」!?
大正時代の童謡は、歌詞の中に「どういう意味!?」と思ってしまう言葉が出てくることがあります。
今は使わなくなってしまった言葉も多く、時代を感じますね。
この歌では、「じゃのめ」という言葉が、いまいち理解できませんでした。
歌詞:あめあめ ふれふれ かあさんが
じゃのめで おむかえ うれしいな
歌詞を読むと、お母さんが雨の中「じゃのめ」をもって迎えに来てくれるわけです。
私は勝手に「じゃのめ」というメーカーの傘を持ってお母さんがお迎えに来てくれた様子を想像していたのですが、そうではありませんでした。
(ジャノメといえば、ミシンですよね…)
「じゃのめ」とは「蛇の目」と書き、傘などを上から見た形が蛇の目に似ていることからそう呼ばれるようになったそうです。
つまり「じゃのめ(蛇の目)」=当時一般的だった和傘。
↓どうです?つぶらな「蛇の目」に見えてきましたか?
ちなみに、本物の蛇の目です。↓(苦手な人も多いので、目だけ小さく載せました)
蛇の目傘は、今では見ることが少なくなりましたが、江戸時代あたりから広く利用されていた、当時の日本ではおなじみの傘だったようです。
きっとお母さんは、着物に和傘だったのでしょう。風流ですね。
余談ですが、お母さんがヘビの目をして迎えに来たら、ホラーですね(笑)
2番以降の歌詞を知ってますか?
1番が有名なこの歌。2番以降、ご存知ですか?
実は、5番まであるんです。
歌詞はこちらです。
「あめふり」
北原白秋作詞・中山晋平作曲
1
あめあめ ふれふれ かあさんが
じゃのめで おむかい うれしいな
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
2
かけましょ かばんを かあさんの
あとから ゆこゆこ かねがなる
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
3
あらあら あのこは ずぶぬれだ
やなぎの ねかたで ないている
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
4
かあさん ぼくのを かしましょか
きみきみ このかさ さしたまえ
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
5
ぼくなら いいんだ かあさんの
おおきな じゃのめに はいってく
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
せっかくなので概要を私流に説明したいと思います。
2番・「僕」が傘をさしてお母さんの後をついて行きながら、後ろからは学校の鐘の音が聞こえてきます
3番・帰路の途中、「僕」が柳の下でずぶ濡れの泣いている女の子を発見します
4番・みかねた「僕」が「きみ、この傘をさしたまえ」と男前に女の子に傘を差しだします
5番・さらに、女の子に遠慮させないように「僕」は「母さんの大きな蛇の目に入るから大丈夫だよ」と伝えます
それぞれの歌詞の後には「ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン」と続きます。
あくまでも私流の解釈ですが、何だか少年が大人びているような、でも「ピッチピッチ」がかわいいような、ギャップが楽しい歌です。
ああ、女の子に「きみ、この傘をさしたまえ」とちょっと大人びて上から目線のような感じなのは、お母さんが迎えに来てくれて浮かれているからかなーと思いました。
学校までお母さんが迎えに来てくれるなんて、なかなかないシチュエーションですからね。
女の子に傘を貸すことで、お母さんと一緒の傘になって一層ご機嫌なのではないでしょうか。
うちの子もずっとこんな風に「お母さん大好き♪」でいてほしいものです。
反抗期怖い……。
怖い都市伝説
怖いといえば、怖い都市伝説もあります。
3番の、「柳の下でずぶ濡れの泣いている女の子」が、幽霊だという説です。
確かに、幽霊は柳の下によく出るイメージですし、ずぶ濡れで泣いているというところも幽霊をほうふつとさせるのかもしれません。
でも4番で、「僕」は傘を差し出しているので、普通に傘が無くて濡れて悲しくて泣いていただけだと思います。
少なくとも、北原白秋さんがそんな意図で作詞するとは思えませんよね。
まとめ
蛇の目傘は江戸時代から庶民の間で一般的に使用されていたようです。
そういえば、テレビの時代劇で何度か、木の傘の骨に和紙を張って和傘を作っているシーンを見たことがあります。
ちょっと蛇の目傘・和傘に親近感がわきました。
今ではビニールの傘が主流で、和傘は見ませんね。
ちょっと寂しさを覚える一方で、和傘を持つと変に目立ちそうだから使用は無理だな、と思っていたのですが、こんな傘を見つけました。
24本なのでとても丈夫な、蛇の目風モダン傘です。
丈夫なのはポイント高いですね。
この前傘壊れちゃったので買おうかな…。
「ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン♪」が楽しい「あめふり」の歌。
雨の中でも傘を差しながら歌うと、自然と楽しくなります。
雨が降って憂鬱だーと思っている時こそ、この歌を思い出して歌ってくださいね。