でんでんむしって、いろんな呼び名がありますよね。あの有名な童謡でも「でんでんむしむし・かたつむり~」と二通りの呼び名が使われています。
どんな由来でどのような名前が付いたのか、また歌の後半にある「つの・やり・めだま」ってどこにあるのか、気になってきました。
そこで今回は童謡「カタツムリ」を中心に、カタツムリの謎について調べてみます。
童謡カタツムリの歌
かたつむり
1
でんでんむしむし かたつむり
おまえのあたまは どこにある
つのだせやりだせ あたまだせ
2
でんでんむしむし かたつむり
おまえのめだまは どこにある
つのだせやりだせ めだまだせ
童謡「カタツムリ」が正式に世に出たのは明治44年、1944年でした。当時の尋常小学唱歌として、1年生の教科書に掲載されたそうです。
作詞家と作曲者には『文部省唱歌』と記載され、長らく作者が定まらなかったのですが、近年の様々な研究で吉丸一昌さんが作詞ではないかと言われています。
吉丸さんは尋常小学唱歌編纂委員もされていたそうで、子供向けの歌の歌詞を作って提供しやすい立場にあったのかもしれませんね。
それにしてもこの歌、よく聞くとしつこいくらい「かたつむり」の名を連呼しますね。
『でんでんむしむし かたつむり』
「でんでんむし」に「かたつむり」、じつはほかにも呼び方があります。
こんなに呼び名が多いなんて珍しいですよね。次はその名前に注目してみます。
でんでんむし・カタツムリ・マイマイ・蝸牛…
今回は「かつたむり」の代表的な4つの呼び名について、調べてみました。
でんでんむし
でんでんむしは、殻を背負っていますよね。「でんでんむし」は、この殻に出入りする様子を表した名前です。
「でん」が、「出ない」の意味を表しており、「でんでんむし」は、「でないでない虫」が由来のようです。
この「でん」は、私の地方では方言として日常的に使っています。例えば、
「そろそろ出ん?」→「そろそろ出ない?」
「出んかったん?」→「(外へ)出なかったの?」
などです。
普通に利用しています。
「でんでんむし」。
私的にこの言葉は非常にわかりやすいです。
かたつむり
「かたつむり」=「かたい」+「つぶり」=「硬い」+「丸い」、だそうです。
つまり、硬い丸い殻を背負っている、さらに陸で生きる生物の総称らしいです。
同じように陸で殻を背負っていても、殻がとがっているタニシなどはカタツムリとは呼ばないようです。
マイマイ
学生時代に「まい」とゆう名の友人のあだなが「マイマイ」でした…。当時は気付かなかったけど、よく考えたらカタツムリですね…。
「マイマイ」も様子を表す名前です。2つ、由来があります。
一つは子供が、カタツムリが角を振る様子を見て「舞え舞え」→「まいまい」。
もう一つは、殻の渦巻きが「巻いている様子」→「まきまき」→「まいまい」。
どちらも発想がかわいらしいです。
蝸牛(かぎゅう)
牛鍋の種類にありそうな漢字だな、と思ってしまいました。でも虫変だから、よく見るとまずそう…。失礼。
実は「蝸」の1文字で「かたつむり」と読みます。
「牛」という字をつけたのは、カタツムリの触覚を見て「牛のような角がある」とされたことからきています。
一番かっこいい、カタツムリの名前です。
つの・やり・めだまはどこにある?
『つのだせ やりだせ めだまだせ ~』
角と目玉は、わかりやすいですね。
見たことある方も多いと思います。
かたつむりの頭から、触覚が4つ生えています。
大触覚が2本、小触覚が2本です。
そして大触覚が「めだま」小触覚が「角」です。
目玉にはまぶたがないので、よくアニメなどにあるような瞬きはしません。
では、「やり」は?
実は、「やり」は普段隠れています。「やり」というくらいだから喧嘩の時に出すのかといえば、実は全く違う用途に使われるようです。
「やり」の名前を「恋矢(れんし)」と呼びます。頭の下にあり、普段は見えません。
かたつむりが子作りをするとき「恋矢」を出し、相手を刺激して交尾に及ぶのです。
つまり『やりだせ』は、交尾を促している!?童謡なのに、何か奥深い…。
ちなみにかたつむりは、1体が雄と雌の両方の役割をし、交尾をするとお互いが卵を産みます。不思議な生き物ですね。
まとめ
かたつむりのいろいろな名は、ほぼ見た目からきているとわかりました。だとしら、「ぐるぐる」なんて名前もいいかもしれません!
そして「やり」の秘密、普段は隠されているのに、明治時代にその存在を知っていた作詞家はものすごい観察眼の持ち主だと思いました。