昭和生まれの方だったら、中学校の英語の時間に「筆記体」の書き方を習いましたよね。
ところが、若い子にしてみれば、
「筆記体?ブロック体?何、それ??」
そう、今は学校で筆記体を教えていないのです。
時代が変わったとはいえ、ちょっとびっくりしますよね。
では、どうして筆記体を教えなくなったのでしょう?
そもそも、筆記体は必要ないのでしょうか?
その辺のところについて、お話したいと思います。
筆記体はいつから学校で教えなくなったの?
以前は、中学校の英語科で筆記体を習うことは必修でした。
それが変わったのは、2002年(平成14)4月。
このときから、完全実施された中学校学習指導要領から、
必修は「アルファベットの活字体の大文字及び小文字」となりました。
では、筆記体の扱いはどうなったかというと、
「文字指導に当たっては、生徒の学習負担に配慮し筆記体を指導することもできる」。
つまり、基本的に指導するのはブロック体(活字体)だけでよく、
状況に応じて筆記体は教えてもいいというものになったのです。
では、どうしてこの時に筆記体の必修が削除されたのでしょう?
学習指導要領とは、文部科学省が告示する教育課程の基準で、
概ね10年に1度のペースで改訂されます。
この時の学習指導要領改訂で重視された理念は「生きる力」をはぐくむこと。
これからは、知識の詰め込みばかりではダメ。
基礎基本の学力や、豊かな人間性、健康・体力といったことを育てていこうという考えでした。
その理念をもとに導入されたのが、いわゆる「ゆとり教育」。
そして結果として、授業数と学習内容が削減されました。
英語の筆記体は必要ない?
勉強してきた世代としては、何だかさびしいことですが、そもそも筆記体は必要ないのでしょうか?
そう思って考えてみましたが、筆記体を知らないからといって困る場面が思いつきません。
パソコンが普及して、手書きの文書を目にする機会は激減しました。
筆記体を読むことなんて、ほぼないですよね。
英文を書く場合でも、筆記体のほうが多少は素早くかけるかもしれませんが、ブロック体が書ければ、用は足ります。
筆記体が書けると、なんとなく格好良くて嬉しい気分になったものですが、考えてみると、
たしかに習得しなくても困るものではないですよね。
英語を母国語としている人たちは?
実際のところ、私の知っているネイティブの人たちが普段から使っているのは、ブロック体です。
学生のころ、アメリカ人と文通をしたり、ホームステイをしてホストファミリーと手紙のやり取りをしたりもしましたが、その時代からすでに、みんなブロック体。
殴り書きのように、かなり読みにくい字でも、それは筆記体ではなくブロック体でした。
ネイティブでもかなりご年配の方くらいしか、筆記体は使わないのが普通のようです。
手書きが多かった時代には、美しい筆記体を書くことが教養として求められていました。
しかし、日本と同様に手書きをする機会が減った現代、あえて筆記体を使う必要もないのでしょう。
一方で、筆記体の教育を行っていくべきだという意見もあります。
古い文献が読める人が減ってしまうことに対する危惧や、手書きの大切さを主張する人が根強くいるのも事実です。
こういった意見がある限り、筆記体が消滅することはないでしょう。
いずれ、何かをきっかけに復活するときが来るかもしれませんね!?
最後に
今は、筆記体を学校では教わりません。
それで、不自由することは、まずないでしょう。
でも、ちょっと練習すれば、子どもは驚くほど早く習得するものです。
もしお子さんが興味を持つようでしたら、教えてあげてはどうでしょうか?
学校で習わない今だからこそ、それは立派な特技になります。
ネイティブが書けない筆記体を日本人がきれいに書けたら、びっくりされて、鼻高々ですよ。