世の中、気づかないうちに世間で定着している事柄があります。
例えば、大きなベントではハロウィン。
私の知らない間に日本人がこの日を楽しむようになっていました…。今では我が娘たちも仮装をして、友達の家々を練り歩いています。
私の意識の中でもすっかり定着しました。
小さなことではごく最近、近所のスーパーで売っていたひな祭りの菱餅に、なんと5色が登場していました!私の記憶では3色だったのですが…!?
そこで今回は、気になる菱餅について調べてみようと思います。
菱餅の由来
菱餅のルーツは中国です。
日本は中国の習慣を取り入れながら、独自の文化を創り出すのが本当に上手だといつも思います。
さて、中国では昔、3月初旬頃に厄払いのもちを食べていたそうです。
その風習が日本に伝わると日本風にアレンジされ、邪気を払うとされるヨモギを入れた緑色の餅を3月初旬に食べるようになります。
それが菱餅の始まりのようです。
ひし形菱餅ははじめ、2色だった
私たちの知るひし形の菱餅になったのは、江戸時代初期あたりでした。
当時は2色。先ほどのヨモギを入れた緑色と、『菱』という水生植物の実を混ぜた白色の餅でした。
2色のひし形を組み合わせて3段、または5段としたようです。
白と緑だけなので、今のものと比べると華やかさに欠けますね。
作る方は楽かもしれませんが。
3色菱餅登場は、明治
その後明治になって、私たちの知る赤・白・緑の三色になります。 赤と書きましたが、実際に私たちが見る色は桃色が多いですね。
赤は魔よけの色として欠かせないそうです。
実際の桃色は桃の花を思わせます。
赤系が加わることでぐっと華やかになりました!
赤・緑・白それぞれの意味する色はこうです。
赤・・・魔除け・解毒 / 桃の花
緑・・・厄除け・健康 / 新緑・新芽
白・・・子孫繁栄・長寿・清浄 / 雪・残雪
そして5色へ
しばらくは3色で定着していった菱餅ですが、地域によっては5色や7色が一般的だったところもあったようです。
近年、全国的に5色の菱餅が増えたのは、5色のカラフルな菱餅を見た人が「美しい」と感じ、拡散した情報を商売人がキャッチしたから…と私の勝手な想像です。
でもネットなど情報社会ですから、ありえるかも!と思っています。
ちなみに5色は、これまでの『緑・白・赤』に、太陽と月を表す『オレンジ・黄色』が加わることが一般的のようです。
陰陽五行説が関係しているのかな、とも思いましたが、五行は「青・赤・黄・白・黒」なのでやっぱりちがうのかな…?
菱餅の色の順番と飾り方
菱餅の重なりの順番にも意味があります。せっかくなので、飾り方も知っておきましょう!
菱餅の順番
菱餅の色の順番は、春を意識した美しい並びになっています。知って見ると、ますます華やかです。
・下から 緑→白→赤(ピンク)
雪
新芽
……左側がハンガリーの国旗みたいになりました。
緑が新芽、その上に雪があり、さらにその上で花が咲いているという意味になります。
・下から 白→緑→赤(ピンク)
新芽
雪
まだ残る雪の上に、新芽が顔を出し、さらにその上に花が咲いているという意味になります。
・5色 下から 白→緑→赤(ピンク)→黄→オレンジ(赤)
月
花
新芽
雪
豪華になりました!
飾り方
菱餅はペアで飾ります。
菱餅を置く菱台も二つ用意してください。
7段飾りの場合は、右大臣と左大臣がいる段の中央に並べて飾ることが多いようです。
地域によっては違う段のこともありますので、風習や説明書も参考にしてくださいね。
菱餅の縁起の良い食べ方
最後に、菱餅の食べ方を紹介します。
もともと菱餅は、厄払いや邪気を払う意味を持つ縁起ものですから、食べ方もそれなりの風習があるようです。
注目するのは、角です。
菱餅の角のとんがりは、厄払いや魔よけをしてくれるそうです。
角から食べることで、「角が立たずに生きる」ことができるとされます。
悪気はないのに角が立ちその後生きづらくなる…という悩みは、太古の人でも同じだったということでしょうか。
角から食べればあとは自由のようです。お好きなお餅料理にして、美味しくいただきましょう。
まとめ
はじめは単色だった菱餅が時を経るに従いカラフルになっていった。
面白いですね。時代に合わせて柔軟に変化することが、世代を超えて愛される行事の共通点かもしれないと思いました。
菱餅に限らず、ひな祭りはこれからもより華やかになっていくかもしれませんね。
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