柏餅、好きですか?私は2枚の葉に包まれた、あの形がかわいらしくて好きです。
と思っていたら、2枚の葉で包まれた柏餅は正式ではないんですね。
西日本では、つるんとした、ほぼ丸い形をした葉っぱに挟まった餅を、柏餅と呼びます。
正式な柏餅を初めて見た時、「何だろうこの葉、天狗の葉っぱを伸ばしたような形をしてるな~」と思ってしまいました。
実は柏餅の葉は地域によっていろいろあるようです。今回はそのあたりを調べてみました。
柏餅の葉は、そもそも柏の葉じゃない!?
コノテガシワ
引用: 撮影Fanghong
「柏餅」と書くくらいだから餅に巻かれた葉は「柏の葉」だと思っていたら、私が知っている丸い葉も、関東で使用されている天狗の葉を伸ばしたような葉も、じつは「柏の葉」ではないそうです。
元々は、上の写真の木が柏(コノテガシワ)です。
枝が直立する様子が、子供が手を上げる様子に似ていることからコノテガシワという名前になりました。
柏の葉
柏の木は、なんと針葉樹なんです。
針葉樹と言えば、松に代表されるツンツンした葉っぱですよね。
とても、餅に巻けるしろものではありません。刺すことはできそうですが…刺しても仕方ないです。
すいません。
槲の葉
では「柏餅」の葉は、何の木の葉なのでしょうか?
実は槲の木(かしわのき)の葉なんです!漢字違いなんですね。
かしわ(槲)の葉でつつんだ柏餅が定着したのが、江戸時代後半ごろと言われています。
そして、槲の葉が使われていた場所が江戸周辺のようですね。
世が流れて、いつのまにか「かしわ」の読みに「柏」が使われるという、ややこしいことになったようです。
柏餅の葉、代用品はある?
柏餅の葉、関東では「槲の葉」ですが、私が子供のころからみていた丸い形の葉は「サルトリイバラ」の葉で、調べてみると西日本ではやはりこの葉が一般的のようです。
この話を母にすると、「ああ、サンキライの葉ね」と言っていました。
また新たな名が出てきた!と思い調べてみると、「サルトリイバラ」と「サンキライ」は同じ植物で名前が地域で違うとか。
…ややこしいです。
そこでこのややこしい事実を、私以外の西日本の人はどう思っているのか調べてみると、私と同じように「サルトリイバラ」の葉を「かしわ」の葉だと思い込んでいる人も多いことがわかりました。
だって、スーパーでは「柏餅」の名前でこの葉に包まれた柏餅が売られているんですよ、仕方ないですよね…。
植物でない葉で、柏餅の葉の代用
「槲」の葉も「サルトリイバラ」の葉も、今ではどちらも全国で見ることができます。流通の発達のたまものですね。そしてもう一つ紹介したいのが、『第三の葉』。
リーズナブルに利用できる「ビニール」の葉です。
なんとなく風情が損なわれますが、お安く購入できるのがありがたいところ。
実際、最近の安い「柏餅」に使用されている葉は、某国で農薬たっぷり使用して作られているとも聞きますし、ビニールもある意味安全かも!?と思ってしまいました。
柏餅の葉、裏表はあるの?
私がよく目にしていた「サルトリイバラ」の葉ではさんだ柏餅は、葉の裏側で餅を挟んでいました。
だとしたら「槲」の葉で巻いた柏餅は、槲の葉の裏がもちに当たるようになっているのだろう、と当たり前のように思っていたら、どうやら違うようです。
なんと、関東の方では柏餅の中身はあんこだけではないようですね。知りませんでした…。
小倉あんのほか、みそあんを中身にするそうで、その中身が見てわかるように、葉の裏表で区別してあります。
つやのない、裏面が見えるように巻かれていたら、小倉あん。
つやつやの表面が見えるように巻かれていたら、みそあん。
合理的ですね!
そして不思議な『みそあん』。
こんどトライしてみたくなりました。
まとめ
『三つ子の魂百まで』とは正にその通りで、私にとって柏餅は、いろいろと柏餅について知った今でも「サルトリイバラ」の葉で挟んだ柏餅です。
「槲」の葉には、違和感を覚えますね…。
でも、地域性や伝統を守るにはこういった感覚も大切だとも思います。
他の文化を知りつつ、独自の文化も守っていく、たかが柏餅ですが、されど柏餅です。