秋が近づくと、お墓の周りに咲いている彼岸花を見かけませんか?
彼岸花って、お彼岸の頃に咲いているから彼岸花と呼ばれているのですが、
別名は怖いものが多いってご存知でしたか?
実は彼岸花の別名はおおよそ1000種類もあります。
その中で有名なものは「死人花」「地獄花」「幽霊花」です。
あんなにきれいなお花を咲かせるのに、この別名は怖すぎですよね。
そんな恐ろしい別名を持つ彼岸花には、毒が含まれていたのです。
今回はそんな彼岸花の持つ毒について調べてみました!
彼岸花がお墓に植えられた理由
彼岸花といえば、お墓の近くで目にすることが多いと思います。
実は、それは自然に咲いているわけではなく、
意図的にお墓の周りに咲くように植えられていたのです。
では、一体なぜ彼岸花は、意図的に咲くように植えられたのでしょうか?
答えは、彼岸花の持つ毒の効果で、土を掘り起こされるのを防ぐためです。
現在、日本では亡くなった方は火葬されますが、昔は土葬されていました。
そのため、もぐらが土の中を荒らして、御遺体にいたずらをするのを避けるため
お墓の周りに強い毒のある彼岸花を植えたのです。
彼岸花の毒、致死量は?
さきほど、彼岸花には強い毒があるとお話しましたが、一体どれくらいだと思いますか?
実は1つの球根で、ネズミ1500匹を死に至らすほどの力があります。
恐ろしいですよね。
しかし、人間の場合の致死量は10gです。
彼岸花の毒は特に球根の中に多くあるため、
この10gを集めるには、相当な量の球根が必要になります。
1つの球根におおよそ0.15gのため、
致死量の10gにするには600個以上の球根が必要になります。
こう考えると、彼岸花の毒で死亡する可能性は低そうに思えますよね。
彼岸花毒の症状は?
しかし、死亡しないにしても、毒を口にすることでなにか症状が出ます。
その症状とは一体、どんなものなのでしょうか。
毒を口にした場合、30分以内に「吐き気・嘔吐・下痢」の症状が出ることが多いです。
他にも、腹痛・めまい・呼吸困難になる場合もあります。
しかし、いずれも彼岸花に触れただけでは、これらの症状は出ません。
彼岸花の球根を食べた場合です。
そのため、彼岸花を目で見て楽しむ分には、なんら問題はありません。
これらの症状が出るのを避けるために、あの恐ろしい別名をつけて
子どもたちが遊びで彼岸花を掘り起こしたり、食べたりしないようにしていたのですね。
それにしても「死人花」「地獄花」「幽霊花」は恐ろしいですよね…。
彼岸花の根が薬に?毒抜きすれば食べることもできるの?
実はこんな毒を含んでいる彼岸花ですが、その毒は薬として用いられることもあります。
しかし、有毒のため飲み薬としてではなく、塗り薬として使われることが多いです。
現在でも漢方薬局で「彼岸花根」として販売されています。
よく使われる方法が、球根をすりつぶし足のつちふまずの部分に塗ると
足のむくみが取れたり、膝に溜まっているお水が抜けたりします。
(同量のトウゴマを混ぜると良いようです)
ほかには、あかぎれしてしまった部分に塗ったり、
痔で痛むときに患部を洗ったり、関節痛のときには痛みがある部分に塗ったりします。
食べることもできる!
こうして薬にもなる一方で、毒を抜いてしまえば食べることもできます。
彼岸花の球根には、毒以外にも、デンプンが多く含まれていて、
芋と同じくらい貴重なエネルギー源とされていました。
彼岸花の毒抜き方法
肝心な毒抜きの方法はこのようになっています。
まず、球根の周りにある黒い革をはがします。
そして、おろし金やすり鉢で丁寧にすりつぶします。
その後、すりつぶしたものを水でよく洗い、最低7回以上流水にさらして毒を流します。
最後に鍋で煮込み、天日干しにして乾燥させて粉状にします。
時間と労力をかけると誰でもできそうに見えますが、
何度も言いますが、彼岸花の毒は強いため、専門家にお願いしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
彼岸花の毒についてお分かりいただけましたでしょうか?
彼岸花の毒は強いですが、その毒のおかげでお墓が守られていることも事実です。
そう思うと毒の怖さより、感謝の気持ちがわいてきませんか?
ちなみに、彼岸花の花言葉は「また会う日を楽しみに」という意味があります。
天国に行ってしまったご先祖様と、天国でまた会えると思うと残された方の悲しみも
すこしは癒やされるように思います。